お金がないと旅行はできない。アルバイトで貯めたお金で海外に行くと、またすぐどこかに行きたい欲が沸いてくる。この限られた学生時代、どうにかできるだけ多くの場所に行けないものだろうか。大学生にありがちな悩みかもしれない。
例外なく貧乏学生のわたしは、去年の夏、ある友人と「ぶらり旅」という遊びを始めた。ぶらり旅とは、よくある散歩番組のパクリなのだが、とくに都内散策のことを指す。事前に「良い感じの名前の駅」を直感で選び、お互い何となく情報を確認して当日集合、特にスケジュールを決めないでひたすら歩き回るという雑な遊びだ。
わたしはこのぶらり旅を、大学生にこそおすすめしたい。気軽にできるお金のかからない遊びであるうえ、ガイドブックに載らないとっておきの場所を発見できる楽しみがあるからだ。電車で駅を通り過ぎるとき、ふとあの場所にはちいさな本屋さんがあると思い出したりする。ひとつの駅を旅行すると、路線全駅を制覇してみたくなるかもしれない。
視点を変えれば、お金がなくても旅行はできる。言うなれば、駅の数だけ国がある。山手線はヨーロッパで、総武線はアジアかもしれない。定期券をパスポートにして、電車で「ぶらり旅」をしてみてはいかがだろうか。