ジャマイカまで

 ひとつ、ジャマイカへ行ってやろう、と僕は思った。今年の初めのことである。理由はすごくシンプルだった。僕はジャマイカを見たくなったのである。要するに、ただそれだけのことだった。

 そんな好奇心で準備を突き進めたのは良いもののの、日本からジャマイカまでの40時間は、一筋縄ではいかなかった。カードがすべて使えなくなってしまったのである。なるべく現金を持ち歩かないように考えていたため、ホテルでとった朝食以外は、機内食とそこで出されるクッキーだけで食いつなぐことになってしまった。

 そしてもう一つ、入国審査の問題があった。ここで留学するためには観光ビザで入国し、学生ビザに切り替えなければならないが、そのことについて空港職員に呼び出されるのである。「どうして学生ビザじゃないんですか?」そう聞かれるたび、「こういう手順を踏まなきゃいけなくて…」と答えなければならない。とどのつまり、「留学」のシステムが整っていないのだった。

 そんなわけでキングストンには無事に辿り着いたものの、空腹と眠気でヘロヘロになっていた。現地時間で8月18日の19:50。日本より14時間遅れた場所、ジャマイカでの留学が始まった。

 次回は夜のキングストンと留学初日についてお伝えします。【大野友暉】