決済

 9月28日。今にも雨が降りそうな、厚い雲が空を覆っていた。今日は月に一度のFarmer's Marketの日だ。ダウンタウンから商人が野菜や果物などを売りにUWIへとやって来る。そこらの市場よりも安い上、ココナッツを切り売りしてもらって生のジュースを飲むこともできる。野菜をいくらか買った後、思いがけずアクセサリーショップの帽子に目を引かれた。日差し避けに丁度いいかもしれない。なんとなく指輪もセットで購入して1250JMD。数字に打ち間違いがないことを確認してクレジットカードで支払った。
 三日後、地を打つような大雨が降る朝、目を疑うような事実を確認する。「1250”USD"で決済されました。」日本円にして――144,389円。急いでアクセサリーショップに電話を掛けるが、一向に出る気配がない。脳裏に「ダウンタウン」のワードがよぎる。危ないから絶対に行くなと教えられている地域だ。とすると次に会うのは一ヵ月後? これは偏見だが、彼らなら逃げるのではと勘繰った。

 UWIの国際交流センターに掛け合う。聞けば、商人たちの個人情報は一切管理されていないとのことだった。センター長が人脈をフル活用すること二時間。業者の携帯電話番号を特定し、修正してもらうことに成功した。猛省。今後は通貨単位にも気を付けないと。

 

14万5千円で買ってしまった帽子と指輪。"Straight outta JC"="Straight out of Jamaica College(UWI近くにある高校)"のことで、「Jamaica College高校を卒業した(出た)ばかりの」という意味。

意味を知ってから被るのが恥ずかしくなった。 【大野友暉】