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脱日本人化(二期・下村芽吹)

 

「コンニチワー」。いつからか海外でこの言葉を言われることが嫌になった。

 

 小学生の頃、家族旅行で初めて韓国に行った。田んぼだらけの田舎から、街全体がイルミネーションで輝く大都市への冒険だった。東京にさえあまり来たことが無かった私は、とてもわくわくしたのを覚えている。ツアーガイドに連れられ、一通り有名な観光地を回った。当時はこのようなパッケージツアーに満足していたが、今はもっと違うことがしたい。

 

 韓国語を学び始めてから旅行をすると、韓国語が使いたくてしょうがなかった。現地の人と同じことがしたかった。単なる観光地巡りを求めなくなったのはその頃からだろう。観光客が行く店でなく、現地の人が行く店で食事をしたり、現地の人しか行かない場所を見て回ったりする。いかにその場所に溶け込むことができるかが、今の私の韓国旅行の楽しみだ。

 飛行機に乗って海外に着くと、私は日本人から脱し、現地の人間になろうとする。普段の自分とは異なる自分を探すのだ。