番外編:グランドケイマン島

 1962年、独立を勝ち取ったジャマイカに対し、イギリス領に残ることを望んだ国がある。キングストンから飛行機で1時間、かつてジャマイカの属国でもあったケイマン諸島は、世界でも有数のリゾート地として観光客を集めている。

 Airbnbで宿を予約し、ホストに貧乏旅行したいことを伝えると、ご厚意でホームパーティの食事を頂けることになった。写真は撮り忘れてしまったが、ここで食べたアキ―&ソルトフィッシュ(元はジャマイカ料理)が絶品で、タラの程よい塩気とアキーのジューシーな果実が相まって、三度お代わりするほど美味しかった。

 首都ジョージタウンには、クルーズ船から降りた観光客で賑わい、高級ブティックが立ち並ぶ。治安は安全で、街をぶらぶら散歩することもできる。ジャマイカと目と鼻の距離にあるケイマンが、なぜ治安も街並みも、住む人も違うのかといえば、それは、イギリス領としてタックスヘイブン(租税回避地)を推し進めていった歴史があるからだろう。とある条件で法人税がかからないため、無数の大企業が参入している。また、移住するには50万US$の資産証明が必要だが、贈与税・相続税がほとんどかからない。お金をいくら持っていても税金で取られないわけで、「お金持ち優遇」の国なのである*。

 小難しい国の事情はほどほどに、留学前に想像していた「カリブ」のビーチやイベントを堪能した。なかでも「南国のクリスマス」は新鮮で、後期にカリブの観光開発の授業を取るきっかけになったと思う。お金があればまた訪れてみたい。 【大野友暉】

 

 一枚目、ホームパーティが行われた豪邸。

 二枚目、ジャマイカでは野生のヤギだが、ケイマンではニワトリ。

 最後の写真、ケイマンで夢を叶えたオラフ。

 *事実、世界一物価の高い国とも言われ、お金が無いと暮らしにくい。しかし「ジャマイカン・タウン」なる住宅街?も存在し、実際に行ってみると、ケイマンの穏やかな雰囲気が嘘のように荒れていた(ホストマザーは、遠回りしてでも通らない方が良いと言っていた)。お金持ちばかり、ではないのかもしれない。