ケイマン旅行の際、クレジットカードが不正利用され、使えなくなってしまった。新しいカードが届くまで少ない現金で生活。前期の失敗でトラウマを抱えているため、日本から送金はしない。不安だが、カードは5日程度で届くらしい。
しかし、届かない。待てども待てども、届かない。電話を掛けても、税関と郵便局のたらい回し。彼らのYaManやAll Rightといった言葉は、希望を持たせただけで、約束は守られなかった。寮の管理人に相談するも、ジャマイカ人はゆっくり行動するから落ち着け、と諭される。結局、税関で叔父が働いている友達に頼み込み、調べてもらって解決した。5日の予定が1ヵ月もかかってしまった。
その間、生活水準は落ちていく。食事は毎食ペペロンチーノ。乾麺の値段は400gで120JMDほど。ニンニク等は前期に買っていたから、一日三食でも費用は90円。地獄の生活だった。栄養は偏り、生きる気力が無くなっていく。さながら、ロボットのように感情も失くしていった。
カードが届く。カバンも持たずに大学を飛び出した。向かう先はChilitos。JaMexican(ジャマイカ料理+メキシコ料理)が美味しい、ローカルなレストランだ。みずみずしいトマトと濃厚なチーズ。シャキシャキのタマネギには肉汁溢れ出すビーフ。全てをナチョスですくって口の中へ。嗚呼、美味しくて、泣きそうになる。飲み込むスピードに、咀嚼がまるで追い付かない。全身の細胞が喜んでいるのを感じた。
不幸にも、カードの有効期限は3月末まで。4月から帰国までは、ペペロンチーノ生活に逆戻りである。 【大野友暉】