SNS(social networking service)。今では聞かない日がないと言っても過言ではないこの言葉だが、日本でSNSと言えば何を思い浮かべるだろうか。
個人的な連絡をするにはLINEが便利だ。開催中のW杯のことならTwitter、話題のグルメをチェックするならInstagramを挙げるのではないだろうか。そう、あくまで個人的な感想だが、日本における、SNS界の王者であるFacebookの存在感はそれほど高くないだろう。実際国内の利用者数を見てみるとTwitterの方が多い。
と、ここまでだらだら書いてきたが、ようするに、馴染みのないFacebookの使い方がわからないのだ。知らぬ間に新しい機能が増え続け、わざわざ調べて使うほどのものでもなかったため、日本でそのアプリを開くことはほとんどなかった。
しかし、カルガリーに来て以降、初めて出会った人とFacebookを交換することが多くなった。すると、必然的にアプリを利用する機会も増える。しばらくして、Facebookが他のSNSと一味も、二味も異なっていることに気が付いた。
まず、実名で登録することから、Facebookは身分証としての役割を持つ。どんな顔で、いつ、どこで生まれて、どんなことに興味を持ち、今は何をしているのか。基本的な個人情報はおおよそここで確認できてしまう。また、他のサービスに登録する時にも、Facebookのアカウント情報を入力すれば一瞬で終わらせることができる。
また、写真集としての機能も兼ね備えている。誰かの投稿にタグ付けされれば、自分のホーム画面に表示されるし、昨今流行りのインスタ映えも気にしなくていいため、一定期間に撮った写真をまとめてアップする人もいる。「2018.6.1~7.1」と、こんな具合だ。
ここまで、日本でも実感できることを述べてきたが、次の二つはこちらにきてから見つけた新機能だ。
まず、一つ目は仕事探しだ。そう、なんとFacebookで仕事探しができるのだ。操作はいたって簡単。働きたい職種と場所などを選択したら、あとは表示される仕事を見ていくだけだ。
そしてもう一つが、市場としての機能だ。ここでは、自転車や服、家具に車などいらなくなったものを、持ち主が値段と共に投稿し、それを買いたい人が投稿者に連絡をとって売買するという仕組みになっている。日本のメルカリを想像してもらえればわかりやすいと思うが、Facebookでは家の賃貸までもがその対象になり得るのだ。
こうした点で、Facebookは他のサービスよりもSNS (social networking service) の定義に限りなく近くにいる存在だと言える。
SNSが溢れるこの世界で、Facebookを使いこなせない僕はその社会から置いていかれているのかもしれない。 【染谷祐希】