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方向音痴 (二期・下村芽吹)

 

方向音痴の私にとって、幼い頃から地図は必要不可欠だった。目的地を決め、それに向かって進めば、間違って到着することはほぼ無い。

 

受験も、大学の授業選択も、すでに目的地が設定されているものに従ってきた。自分の意志よりも、周りからの視線や期待に従った。もちろん間違うことは無く、楽と言えば楽なルート選択である。

 

 しかし就活はそうはいかなかった。自身の経験により目的地を定める。自分の意志で目的地を選択し、様々な手段を用いてルートを自分で作っていく。真っ白な地図に自分で道を描いていくことは容易ではないが、同時に自分の可能性がどこまで広がるのか、楽しみでもあった。

 

これからは地図を用いて世界中にモノを届ける仕事をする。私の中の真っ白な地図に、経験値として新たなルートが加わるのではないか。もう方向音痴ではいられない。最適なルートは自分で発見していくのだ。