Prince's Island Park

 お金をあまり持ち合わせていない僕らにとって公園は最高の場所だ。カルガリーに来てから訪れた公園は数知らず。サッカーをするなり、ピクニックをするなり、ただただお喋りするなり、はたまた一人で昼寝をするなり。お金は一切かからないのに楽しみ方は無限大だ。

 カルガリーに数ある公園の中から選ぶ、個人的No.1は”Prince's Island Park”だ。

 交通の便がいいダウンタウンの北端に位置し、ボウ川の中州に作られたこの公園は通っていた学校に近く、放課後困ったらここに来るのがお決まりだった。プリンスという名だがどこかの国の王子ではなく、Peter Anthony Princeという林業に携わった人物が由来だという。

 園内はとてものんびりとした空気が漂うとてもChillな場所だ。隠れてマリファナを吸う人も、隠れてお酒を飲む人も(カナダでは公共の場でお酒を飲むことが禁じられているため屋外で飲自由に飲むことができない。非常に残念だ。)、もちろん家族友達連れで楽しむ人もいる。

 本当はそんな都会のオアシスに毎日でも行きたかったのだが、最近は足が少し遠のいてしまっている。なぜなら、1つは蚊が異様に多いこと。そしてもう1つはカナダグースだ。カナダグースと言っても、日本の冬に大量発生する、ジーンズを履きNIKEのごっつい靴で足を固める、金髪のキャッチのお兄さんたちが着ているあの衣料ブランドのことではない。そうではなく、体調60~120cmのカモ科の鳥のことである。

 冬が終わり、だんだん温かくになるにつれてどんどん増えてきたのだ。体の大きさに相まって彼らの排泄物もなかなか大きい。中型犬のそれくらいの大きさだ。そんなものが園内のそこら中にごろごろ転がっているからたまったものじゃない。それまで心地よい風に吹かれながら芝生の上に寝転がって日向ぼっこをしていたのは僕の方なのに、いつのまにか鳥の糞にとってかわられたというわけだ。

 というわけで、プリンスアイランドに行くことは滅多になくなってしまった。そして僕自身も誰かのプリンスになることとは縁が遠いらしい。思いを寄せていたあの子が母国に帰ってしまったのだ。あ~悲しいなあ。   【染谷祐希】

 (写真)春になり新しい命が続々と誕生。ほんとに生態系が崩れるのではないかというくらいわんさかいる。