地図を読む
地図を見る。最近ではこの傾向が、より一層強くなっている。GPSが発達した現在、私たちは電子地図上を動く青い点を見つめる。
この時大切なのは、青い点が目的地に近づくことだけだ。目的地にまで連なるドット追いかける。近い未来IoTでリアルな世界にまでドットが連なったら、地図を見ることさえなくなるかもしれない。しかし、街がある限り地図はあり続ける。
地図は街の人々の営みが観える面白い読み物だ。どのような歴史があって、いつ、どのような人々が、どのような価値観で、何を作ったかが地図という形に変換されて描かれている。違和感のある道路が走っていると、そこで何が起こったのかを想像せずにはいられない。単純に「世界はこうあるべきだ」では終わらないことを示唆する小説を読んでいる気分だ。
1度立ち止まって地図を読む。すると息詰まった「べき」の世界から抜け出せるかもしれない。こんな物語があったから、地図に「こうある」のだ。