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自由の地図(三期・岩田和真)

 

                自由の地図

 

 

 

 地図といえば、イラストのもの。新たな技術が生まれても、大昔からそれは変わらない。

 

 

 

それは誰かが書いたものである以上、そこには必ず製作者の主観が入る。記される情報も製作者が必要だと思ったものだけだ。目印となる建物の名前や、その色も主観的なものとなる。そのため、地図にない道を間違えて曲がってしまうように、現実とのギャップが生じる。

 

 

 

その点、航空写真は実際の建物を撮影し、繋げたものである。そのため本来地図を作るものから注目されない物件も漏れなく映し出される。たとえ加工をしたとしても、その痕跡は誰かが見つけてしまう。これはありのままの景色を伝える、平等で自由の地図と言えるかもしれない。利用者はその写真に映る景色から、目印を自分の目で選び、目的地に向かう。歩くべき道を自分で決めることを可能にするのだ。

 

 

 

選ばれた情報だけを「見せられ」、「歩かされ」ている。そんな感覚から解放してくれる力を、この地図は持っているのかもしれない。