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ス「マップ」(二期・加藤穂香)

  私には「マップ」があった。失えば迷子になってしまうから、と大事に持っていた。
 
   5人のイケメンで構成された「マップ」は、目標も志もない私を楽しい場所へ連れて行ってくれた。その道中では、友人と「マップ」を熱く語り、うっとりと「マップ」だけを見つめ続けた。私は世界に1つだけの花だし、夜空の向こうには明日がある。そう信じて、示された道を従順に進んだ。
 
   2016年の冬、私は突然「マップ」を失った。私は「マップ」をバラバラに千切られ、迷子になってしまった。しかし、なぜかみえる世界が鮮やかにもなった。私が進んできた道は、小さな「ジャニーズ国」のものでしかなかったからだ。友人とは未来を見据えた現実の話をするようになり、今までなかった将来の目標に向けて頑張れるようにもなっている。
 
  もう、私の道を照らした「マップ」に興味はない。5人のおじさんもいらない。私が進むのは、私が行きたいと思った道のみである。