「あなたは将来、どんな人になりたいですか」
面接で聞かれて答えに窮してしまった。幼少期に将来に思いを馳せたことはあるが、そのどれもが夢に過ぎなかった。行く道が1つしかないより、どこにでも行けるほうがはるかに不自由だ。目の前の道が全方位に伸びていて、足がすくんでしまう。
私はいくあても無いまま、ただひたすらに歩を進めてきた。思えばいつも、迂回ばかりしたような気がする。それもそのはずだ。地図を持って見知らぬ土地を歩くのなら、まずは行き先にピンをささなければならなかったのだ。
もし人生にナビがあったら、今の私はどのように打ち込むだろう。仕事、結婚、出産、最短距離でいくのか、渋滞が少ないルートを選ぶのか。
果てしない道だなあと思う。それでも、近道したり、予期せぬ寄り道をしたりして、進んでいきたい。