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けものマップ(三期・埴原輝美)

  ずっと舗装された一本道を歩いてきた。わざわざ持っている地図を使わずとも、安心して歩き続けれる。
  人生の中での決断は、他人に頼ってきた。高校も、大学も、親や先生に勧められたところを受験した。結果的にやりがいのある部活に入り、友達も沢山いる。何の欠点もない人生だ。
   そんな私の完璧な一本道にある日、どう見ても舗装されていない横道ができた。吐血ゼミというそのけもの道は、なるほど、険しい。体力の限界のはずなのに、進んでも進んでも終わりが見えない。しかし、もう限界だと思いながら、不思議と私は歩みを止めない。むしろその足はしっかりと地を掴んでいた。けもの道から一旦引き返した後の一本道は、なんとなく退屈になってしまった。あのけもの道に勝る刺激はないのだろうか。
  そうだ、これを機に地図を使ってみよう。もしかしたら描いてない道を描き足せるかもしれない。地図を持っていれば元の道にも戻れる。一本道だけだった私の地図が横道で埋まるのも、時間の問題かもしれない。