テキーラ

 “Jalisco es México”というのが、ハリスコ州(グアダラハラはハリスコ州都)が掲げる観光スローガンだ。「ハリスコはメキシコ」という意味で、メキシコらしいものはここに集まっていると謳う。その大胆さに、ハリスコ州の自信が覗く。

 その代表格が、テキーラである。グアダラハラの北西、車で1時間ほどの小さな市で、その景観は世界遺産にも登録されている。お酒テキーラの名は原産地呼称制度によるものなのだ。道中、原料であるリュウゼツランagabeが果てしなく広がる。お土産屋には何十種類ものテキーラがずらりと並ぶ。あるテキーラブランドの専用ツアーに参加した。リュウゼツランの畑に向かい、プロの方が植え方や収穫方法を見せてくれた。工場では、出来立てを試飲しながら製造工程を見学した。テキーラを満遍なく知ることができる、濃い内容だった。

 愉快なガイドさんのテキーラジョークで皆が笑う。そこにテキーラを真面目に語る人はいなかった。度数が高いことで有名だが、酔うためではなく楽しむために飲むものだと誰かが言っていた。いつでも楽しむ気概のメキシコ人のそばにある、代名詞ようなもの。テキーラは笑いを味方にする。

 その後、テキーラ専用のバルに行った。昼間からバンドの演奏とともにどんちゃん騒ぎ。時間がゆっくりと流れる、違う世界に来たみたいだ。テキーラは何でも可能にしてしまう。

▲左から①「テキーラを飲んで野菜を食べれば良いお尻が手に入る」②「テキーラ以外から生まれた喜びは全部偽物だ」