就職活動を始めると、「自己分析したほうがいいよ」という助言をよく聞いた。そのアドバイスを忠実に聞いて、私は何度も自分の経験を振り返った。しかし「本当の自分」なんて綺麗なものは見つからなかった。そしてまた何度も自己分析を繰り返した。
自分の価値観、今までの数ある選択の背景を客観的に分析することが自己分析だ。今まで自分自身で足を踏み入れなかった場所を探し、自分とは何かと、私という「秘境」をみつけようとする。旅の中の秘境であれば、それは絶景と呼ばれるものだろう。しかし私という「秘境」はそうとも限らない。時には自分に価値はないという、ただの荒野しか見つからない時もある。もしくはそんな「秘境」なんてものはない場合もある。
しかしそれなら自分で絶景の「秘境」を作り上げればいい。どのような自分であれば希望する会社に入れるのかを考え、それに合った私という「秘境」を作り出すのだ。秘境探しよりも「秘境」作りのほうがより有意義な時間だろう。