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ひきょうな居場所探し(三期・相田夏)

 

誰にも知られていない。誰にも気づかれていない。そんなものに、なぜか人は惹かれる。

 

 少し一人になりたい。ぎゅうぎゅうに詰まった授業の合間に、ふと思う。一年生のころから、ほっと一息つける空間を探してきた。だが、良い場所にはすでに人がたくさんいた。なかなか上手くいかない。20194月、4年生になって、また新たな場所を見つけた。今までで一番落ち着ける場所だった。なぜ、最初はうまく見つけられなかったのだろう。

 

 手っ取り早く秘境にたどり着こうとしていたからだ。大学の混み具合や周りの学生の動きを把握していなかった。だからこそ、多く認知されている場所ですら、秘境と勘違いしてしまったのだ。

 

 なかなかたどり着けないことが秘境の魅力である。だからこそ、一飛びで到達なんてできない。まずは、基礎や現状など、誰もが知っているものを知る。一つ一つ階段をのぼるように、秘境に近づいていくのだ。

 

 あたりまえをもっとよく知ることで、自分だけが知る魅力に出会えるかもしれない。