「誰かに簡単に自分のことをわかられてたまるか」と思う時がある。「どうして誰も自分のことをわかってくれないんだろう」と思う時もある。
私の中身は「ひきょう」だ。誰も本当の私を知らない。私が誰にも心を開かなかったからだ。自分の本質を知る人はいないと思うとなぜだかすごくワクワクした。同時にすごく寂しかった。自分から見せたくはないけれど、誰かに本当の自分を見つけて欲しかった。
就職活動に苦戦し、ストレスで肺炎にかかった。同時に頭のネジも外れてしまい、ある日面接で本当の自分が顔を出した。もう終わりだ、と泣きながら電車に乗った。しかし、その日のうちに合格の電話をもらい、最後には内定を頂いた。
本当の自分を見つけてもらえた時、味わったことの無い幸せを感じた。自分の「秘境」をさらけ出すことができたら私はもっと幸せ者になれるかもしれない。しかし、私は未だ本当の自分を見つけてくれる人を待つ「ひきょう」者なのである。