遠回りは近道。10年間のテニス経験の中で、言われ続けてきた言葉だった。だから、基礎練習や体力づくりは決して怠らなかった。
1年前、友人の誘いでサーフィンを始めた。憧れだったウェットスーツを身にまとい、ボードを抱えて歩き出した。友達にたった5分教えてもらい、さっそく海に入った。初めてにして立てた時から、私は波の虜になっていた。もっと波に乗りたい。早く上達したい。そんな思いから、見様見真似で必死に立ち向かった。
ある日、レッスンを受けている人たちを見かけた。こぎ方から立ち方、バランスのとり方を陸で念入りに教わっていた。私はあの地味な練習はしてこなかった。遠回りをせず、近道を辿っていたからだ。けれど、乗れた。
確かに、基礎的なことは身についていなかったのかもしれない。しかし、その道の中で自分なりの工夫と努力が生まれ、途中で修正し、上達することが出来た。そしてそれが力になった。
近道も近道。そんな言葉が、私には当てはまっていた気がした。