東京オリンピックが決まったころは、2020年なんて来ないと思っていた。ドラえもんが住む時代くらい先に感じた。
2020年は、あっという間にやってきた。予想もしていなかったおまけを連れて。私は直線上を生きるようになった。友人とは通話ボタンを押すだけで会える。バイトと自宅の往復は、最短ルートを通り、最短時間を目指す。目的以外は切り落とされる。無駄は無くなり、お金もたまった。最短でまっすぐな人生は合理的だ。
しかし、この生活を続けて気が付いた。目の前のまっすぐの道を進む人生は、物足りないことに。進むべき直線の横にある、くねくねした先の見えない道の方が光って見える。今までは、横の道を選んで歩いてきた。友人とご飯を食べた後、ふらふらと歩きながら話す時間。そんな名前のない遠回りが好きだった。
早く、遠回りがしたい。来年は遠回りができるだろうか。