また同じ夢を見た。
その夢は、私が暗い夜道を彷徨っている所から始まる。少し行くと、二本道が目に入る。左側は出口まで最短で行ける道で、右側は遠回りの道だ。私はいつも左側を選んで一歩踏み出す。そこで突然夢が終わってしまう。
考えてみると、現実の私はいつも「遠回り」を選んでいた。高校では大嫌いな運動を部活にし、大学では吐血するほど厳しいゼミにも入った。楽に進むことのできる近道を選ぶのは、負けだと思っていた。
現在はそんな自分の選択を後悔している。ゼミの課題に就職活動、アルバイトもこなす毎日に嫌気がさしてきた。楽をしたいという私の欲が夢の中に現れているようだ。
しかし、「遠回り」は今のためにあるのではない。その過程で抱えてきた心の痛みや葛藤が糧となり、次の選択につながるからだ。遠く険しい道も、将来の近道になるかもしれない。そう考えたら少しだけ楽になれた。
また二本道だ。私は今、「遠回り」を選んでみる。