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アナログ時代が輝いて見える(五期・村田智哉)

アナログ時代を生きてきた人の誰がこんな時代を想像しただろうか。


 アナログ時代は不便だった。どこかへ行くにしても、使われていたのは紙のロードマップ。思いどおりに行けず、時には遠回りすることもあった。しかし、その寄り道がまた楽しかった。


 一方で、現在のデジタル時代ではスマホが活躍してくれる。画面を開き、検索ソフトで目的地を入力する。そこまでの距離と道のりが表示され、最短ルートを示してくれる。検索結果に従い、予定通りに目的地を目指す。

 

 予定通りであれば、想定外のこともないだろう。遠回りすることもなく、「あっ!」と驚くような突然の出会いもあるまい。


 かの航海者コロンブスはスペインからアジアを目指す際、遠回りをしたことで、偶然にもアメリカ大陸を発見したという。その影響で貿易が地球規模に拡大し、世界の一体化が促進された。


 スマホから目を離し、遠回りをすることで、新たな発見を期待する。そこには思いがけない偶然の出会いが待っているかもしれない。