最後の一本。ゲレンデに来たらリフトが止まるぎりぎりの時間まで滑り込む。普段は味わえないスピードを全身で感じて疾走するのは最高だ。
スノーボードは弧を描きながら滑り降りる。一つの軸を中心に左右に均等に弧を描き、圧雪された雪面を切るように滑る。それは技術選の大会で評価される「きれいな」滑り方だ。だが平らな雪面で大会の滑りだけを練習する選手は、雪面が荒れた時に弱い。起伏に対応できず転んでしまうのだ。
一方フリーランという滑り方がある。寄り道をして地形で遊びながら滑るのだ。雪面の起伏を無理に乗り越えようとするのではなく、それを利用して飛び跳ねる。
人生も一度きり。最後の一本だと思って生きるべきだ。その中で一つの軸に固執して規則的な人生を送ろうと必死になるよりは、寄り道して遊ぶ方が断然楽しい。
私は最後の一本は必ずフリーランだ。ゲレンデを遊びつくす為全ての地形に立ち寄って、存分に遠回りして滑り降りるのだ。