「今日はあの場所に寄って帰ろう。」小学生時代は公園、中高生になってからは通学路の駅に寄り道をすることがあった。未知の場所の開拓すれば新しい発見に出会える気がして、好きで遠回りをしていた。
しかし、遠回りは逃げ道でしかなかった。遠回りで時間を潰し、やる気の出ない習い事にわざと遅刻した。やらなくてはいけないことから目を背け、先延ばしにした。人との接し方さえ遠回りだった。人に嫌われたくない一心で、言いたいことを遠回しに伝えた。私にとって遠回りは、ただの都合の良い言い訳にすぎなかったのだ。大学生になった私は遠回りの「距離」を制限し、逃げないことを決めた。
大学生活最後の一年である2020年、私の遠回りの距離は0mになった。よそ見のできない「就職活動」、コロナによる「外出自粛」。私の周りには、遠回りのしようのない「一本道」しかなくなってしまった。逃げ道にしてしまった遠回りを反省しながらも、恋しいと思う私がいる。