また寝過ごしてしまった。
最寄駅の東武宇都宮駅から獨協大学前駅までの道のりは片道約2時間。長旅の様な道中、私はスマホを触ったり、眠ることが日課になっていた。
何度乗り換えに失敗したことだろうか。ある日の朝、熟睡する私を乗せた電車は大学とは正反対、宇都宮からも更に北に1時間『東武日光駅』に到着していた。やってしまった。充電もほとんどない。どうすることもできない私は、おとなしくホームで電車を待つしかなかった。
しかし電車に揺られた3時間は以外にも楽しい時間だった。いつもとは違う景色、車窓の外に広がる自然にただ目を向けて、ぼうっと電車で過ごす時間。小さな画面を見ていた今までよりも目が生きていた気がした。
遠回りをして気が付いたのかもしれない。私はそれまで何もしない時間がこわかったのではないだろうか。暇さえあればスマホを開き、目が疲れた頃に瞼を閉じる。何もしない時間の価値を知らなかったのだろう。